【メッセージ】2015年から2020年まで6年間のJAICOWSの活動総括と、2020年の展望

2015年から2020年まで6年間のJAICOWSの活動総括と、2020年の展望

JAICOWS会長 羽場久美子

 

 

 

2015年1月の総会から原ひろ子先生より会長を引き継いでから足掛け6年になる。

2020年10月より、新体制として白波瀬佐和子会長、伊藤美千穂副会長、海妻径子事務局長、栗田禎子企画委員長に新しく引き継いで頂くことになり、大変嬉しくありがたく思っている。

この間の2期6年を振り返り、1)世界情勢、2)学術会議の動き、3)JAICOWSの活動をまとめ、JAICOWSの研究会の成功や非常勤のアンケートの成果も紹介して総括としたい。

1)世界ジェンダー情勢と日本 2015年から2020年までの世界の中の日本のジェンダー状況は決して順調とは言えなかった。毎年12月に報告される世界経済フォーラム(WEF)のジェンダー不平等状況を示す「世界ジェンダー・ギャップ指数2019年」によると、2015101位、2016年111位、2017年114位と毎年順位を落とし、2018年110位と若干回復したものの、2019年は世界153カ国中121位と過去最低となった。1位から5位は、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ニカラグア。日本はOECD先進国の中で最低であるばかりか、中国106位、韓国108位と、世界の中でも後ろに30カ国余しかない状況となった。先日東大のジェンダー会議では教授に言葉のハラスメントを受けたイスラムの院生から、「日本の性差別はイスラム圏よりもひどい」という言葉も聞いた。何が問題か?上野さんは「ごめん」と言われた。いや問題は日本の政治と社会。2020年は何としても挽回したい。まずは自分の周りの女性、ジェンダーの人権を1つ1つ保護していくことから、であろう。

2)学術会議ではこの間順調に202030という基準を前倒し達成し既に24期に女性会員3割、連携会員28%を達成した。25期もこれを上回る成果を期待している。男女共同参画を学会レベルで実現するためのアンケートや様々のシンポジウム、会長副会長の4人の内2名が女性という状況が2期続き、学術会議でのジェンダー状況はかなり改善された。今後は大学及び企業さらに政治における女性拡大であろう。若手により、女性会長も目指されればありがたい。

3)JAICOWSでは、島田先生から原先生まで脈々と受け継がれてきた伝統ある学術会議の女性科学研究者の環境を改善する動きをどれだけ実現できたかは心もとない。しかし田原淳子先生という優れた事務局長と共に、90人のJAICOWS会員から学術会議の会員にNews Letterを配布し会員になって頂く広報を募る中で、30人以上127人まで新しい会員が入って下さったのは嬉しいことであった。海妻先生たちと共に学術会議の講演会で女性の貧困:非常勤や若手研究者の問題について何度もシンポを持ったり、非常勤の雇止めで早稲田や日大で大きな問題が起こる中、「非常勤講師緊急アンケート」を取り、袖井先生・直井先生のご協力の下、700人を超える切々たるアンケートが集まった。それは今年9月にJAICOWSの成果として『非常勤講師はいま―コロナ時代の非常勤講師(仮)』のブックレットとして出版予定である。ありがとうございました。

 

講演会についても、大学の授業と合わせ、辻村みよ子先生、廣瀬真理子先生、大澤真理先生、上野千鶴子先生、浅倉むつ子先生など錚々たる先生方に、最先端のジェンダー問題について語って頂いた。また田原先生のアレンジの下オリンピックとジェンダーのシンポも時宜を得て公開した。これらは時に300人を超える参加から少人数の白熱した論議まで、多角的にジェンダー問題を考えなおすきっかけとなった。講師の皆様には心より感謝する。2020年6月には伊藤美千穂先生、海妻径子先生の初のオンライン講演により100名を超える方々が参加して下さり活発な議論が交わされた。全国を結んだオンライン講演は今後も続けていきたい。

皆様のご講演もぜひお願いします!

4)2020年の抱負としては、コロナ禍の中、高齢者・弱者・女性を大切にし、若手会員を増やし全国の会員の方々のご協力によりさらに会を活性化させていきたい。

白波瀬先生他の新執行部のリードでさらに新しい会員が増え、伊藤・海妻・栗田諸先生の下で京都や大阪、東北、千葉にも会を広げますます活発な活動を期待したい。ぜひ今後もJAICOWSにご協力の程、宜しくお願い致します。2期6年間、皆様には本当にお世話になり、誠にありがとうございました。

JAICOWSの皆様とともに、日本の政治・経済・科学・社会で女性が輝く未来を実現していきましょう! 皆様のますますのご発展を、心よりお祈りいたします。